漫画やアニメのキャプチャ画像に著作権が発生することは分かる。では、タイトルやキャラクターの名前はどうだろうか。
疑問に思って調べたらちょっと興味深かったのでメモに残すことにした。
基本的に作品タイトルやキャラクター名に著作権は発生しない
作品タイトルやキャラクター名には、基本的に著作権が発生しない。
その理由の大半は、短すぎるから。
著作権は著作物を保護するための権利だ。著作物と認められるには、作者の創意性が認められなければならないわけで、短すぎるものにはそれが発生しづらい。
著作物と認められるための4つの条件は、文化庁のページに掲載されている。(参考:https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu.html)
妙に長いラノベのタイトルや、妙に長い名前なら著作権は発生するのかもしれない。
法律で具体的に何文字までと定められているわけではないため、ラインがかなり曖昧だ。
著作権が発生しなくても商標権に注意
長すぎない名前に著作権が発生しなくても、キャラクターの名前は商標権で守られることがある。
商標権ってなんだったか。
学生の頃に聞いた覚えはあるのだが、1ミリも覚えていないので調べてみる。
参考:https://www.jpaa.or.jp/intellectual-property/trademark/
どうやら、製造業者のロゴがいい例になるようだ。
おそらく、コーヒーについているダンディなおじさんのシルエットや、ビールについている髭(触覚?)の生えたキリンのことだろう。
ロゴを商標権で保護することで、他の企業が同じロゴを使用することを防ぐことができる。つまり、ロゴは1企業だけが使用することを許される。本家の証ともいえるのだ。
消費者はロゴをみて「この新発売のお菓子のロゴは…A社か。A社が出すお菓子はいろいろ試してみてるけど、ハズレがないんだよな。」→「今回も買ってみよう」といった判断を下すケースもあるだろう。(たぶん)
つまり、ロゴは消費者が持つ企業や商品に対するイメージの総体(ブランド)をつくりあげているということ。商標権はこの企業が積み上げてきたイメージの総体を他の企業に不当に使われないようにするための権利ということがわかる。
じゃあ、仮に漫画のタイトルやキャラクター名に商標権があったとして、それをブログに表記するときに商標権侵害になることってなんだろう。
まず、ブログで漫画の感想を書いたりするときにその漫画のタイトルやキャラクターの名前を表記する。くらいなら、よっぽどのことがなければ商標権絡みでの問題にならないのではないかと思う。
参考:https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/seidogaiyo/shotoha.html
商標権には商標権の効力が及ばない範囲として、「商品やサービスの普通名称や品質を使用する範囲においては、商標権侵害にならない」とある。
普通名称は何かと言うと、
「普通名称」とは、取引業界において、その商品又は役務の一般的名称であると認識されるに至っているものをいい、略称や俗称も普通名称として扱います。また、「普通に用いられる方法」とはその書体や全体の構成等が特殊な態様でないものをいいます。
出典元:出願しても登録にならない商標 - i) 商品又は役務の普通名称のみを表示する商標(商標法第3条第1項第1号)|特許庁
つまり、世間一般的に知られている元コンテンツとしての名称であればよいことがわかる。
逆にいうと、商標権のある名称を、自分で考えた独自のもの(オリジナルコンテンツ)であると主張するようなことをすればアウトということだろう。
商標権の有無はこちら↓のサイトで検索できる。
不正競争防止法にも注意
著作権、商標権の問題をクリアし、次に立ちはだかるのは不正競争防止法。
不正競争防止法ってなんだ。
参考:https://kyoto-keijibengosi.com/niseburandohin-fuseikyosoboshihoihan-kyotoshi-kamigyoku-bengoshi/
私の認識が間違っていなければ、
自分で作った漫画に、既出の漫画と同じ(似た)タイトルをつけて、自分が儲けるために販売してはいけませんよ。ということだと思う。
このケースは既出の漫画(以下、「本家」)の話題性に便乗することになるし、同じタイトルをつけることで読者の分散に繋がる。
分散した分、本家の売り上げが減るかもしれない。つまり、本家の方が不利益をこうむる可能性が高い。
こういったいざこざを不正な競争とみなし、後発(パクリ)組を取り締まるのが不正競争防止法。
ただ、この法律もグレーラインの判断が難しい。
2016年公開のアニメ映画「君の名は。」は、1953年公開の実写映画「君の名は」とタイトルが非常に似ている。しかし、不正競争防止法には引っかかっていない。
公開した時期が大きく異なれば映画をみる世代も大きく変わる。2016年に「君の名は。」をみた人の何人が1953年の「君の名は」を認知していたかと言うと、それはごく少数だろう。
おそらく2016年「君の名は。」が不正競争防止法にひっかからないのは、1953年「君の名は」が世間に広く周知されていなかったために不正競争とみなされなかったためと思われる。
というか2016年「君の名は。」がヒットしたことで、1953年「君の名は」の話題性が上がり、1953年「君の名は」制作陣としてはメリットのほうが大きいのではないだろうか。(きっとこの記事以外にも、メディアに取り上げられていたと思う)
このように、元コンテンツがその時代にどれだけ認知されているかということも、不正競争か否かの判断材料となる。
単純にタイトルが似ているだけで罰せられるのかというとそういうわけではないことが分かる。
参照:https://www.memoriba.com/2019/08/17/name-title/
参照:https://forest.watch.impress.co.jp/docs/shseri/copyright/1009222.html
まとめ
以下に自分の考えをまとめる。
•基本的に漫画やアニメのタイトル、キャラクター名に著作権はない。ただし長すぎるものには注意する。
•名前に商標権がついていないか確認する。ついていれば、権利元のコンテンツのものであると分かるように記載する。
•ブログで漫画やアニメの感想を書く、紹介するなどの目的で、タイトルやキャラクター名を表記する事自体は問題にならない。